<呼びかけ>
地域メディアの明日」にチャレンジする皆さんへ

2009/07/02
慶應義塾大学地域情報化研究コンソーシアム
坪田 知己     

 <過去にお会いした人に送っております>

広告費の急減、インターネットの普及の中で、メディアの激変が始まりつつあります。中でもデジタル化の流れの中で、地域メディアは困難な時期を迎えつつあります。

 それを乗り切って、次世代の展望を開くにはどうすべきか―――。

その解を求めて、下記の合宿勉強会を開きます。
一つは「地域密着戦略」です。地域の問題を掘り起こし、住民と一緒に考え、解決しようというものです。これは鳥取県米子市のケーブルテレビ局「中海テレビ」が実践してきたことです。地域貢献を企業理念に掲げ、地域の問題解決を番組を通して実現していく姿勢、環境問題(中海の浄化)や高齢化・過疎の問題では地域の情報ハブの役割を果たしていることなど、見事な経営をされています。
次に、SNSやブログといった、ネットメディアの活用です。規模は小さいのですが、和歌山県田辺市の「紀伊民報」がこの分野の先端を走っています。
そして、これまでのマスメディアの鋳型であった「官報ジャーナリズム」からの脱却です。河北新報仙台市)の寺島英弥氏は、「シビックジャーナリズム」の実践者であり、米国で取材した豊富な事例をご存知です。
このような先進例に学びつつ、「これからのメディアはこうあるべき」を考えようというのが、今回の米子合宿の趣旨です。
単に「勉強しよう」ではなくて、「自分が先頭に立って変えていこう」という人たちの決起集会です。熱い夜を米子で過ごしませんか。趣旨に賛同される方はぜひ来てください。さらに周囲の「熱い人」にも声をかけてください。
 





地域メディアを再構築しよう」米子合宿の概要


<趣旨>
 地域におけるメディア・・・というと、地方新聞社と地方民放テレビ局が代表格でした。しかし、インターネットの普及と通信と放送の融合(たとえばIPテレビ)などが、その基盤を脅かしています。
 地域での暮らしの中で、地域メディアが果たす役割は大きく、これを維持することはわが国にとって重要なテーマです。
 今後、生き残っていく地域メディアの形はどのようなものか・・・それを多角的な視点から探るのが、今回の合宿の目的です。

◆ セッション1 「地域貢献を掲げる放送局とは〜中海テレビの20年」
   スピーカー 中海テレビ放送  高橋孝之専務
                  上田和泉記者

  中海テレビ放送は、地域貢献を社是として掲げ、これまでユニークな経営、番組作りをしてきました。
 一つは、日本のビデオジャーナリストの先達である神保哲生氏の指導で、ビデオジャーナリスト方式(1人で取材、撮影、編集、音入れをするスタイル)を実践。その成果として、国道死亡事故撲滅を達成。選挙ではすべての当選者に当選の弁を語らせ、地域の問題にどう取り組むか、知事や市長らの討論会をたびたび企画しています。また中海の浄化運動として「中海再生プロジェクト」に取り組むなど、住民の組織化に取り組んでいます。その結果、地域からはNHKを上回る信頼を集めています。その経営姿勢と、報道のあり方を紹介し、Q&Aを行います。(中海テレビは日経地域情報化大賞2008を受賞)
 <参考>
http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2009/02/35.html
  
◆ セッション2 「地域を取り込むデジタル戦略」
    スピーカー 紀伊民報  上仲輝幸氏

 地方の新聞社でブログやSNSを活用しようという動きが活発になってきています。その中で、特にユニークなのは、和歌山県紀伊民報です。KiiLifeというポータルサイトには、地元の商店などの情報が掲載され、不動産屋や中古車ディーラーは、物件検索でビジネスを拡大しています。さらに商店のブログにSNS「みかん」の会員が関わるなどで、コミュニティとビジネスの相乗効果を挙げています。地域メディアがネットを活用する方法の先進例として、運営者の考えを述べていただき、ディスカッションします。

◆ セッション3 「シビック・ジャーナリズムから学ぶもの」
    スピーカー 河北新報社 寺島英弥氏

 米国では1990年代から、先進的な地方紙が、従来の行政機関提供のニュースを追いかけるのではなく、市民の暮らしに根付いた情報を掘り起こす「シビック・ジャーナリズム」という手法を実践しています。寺島氏は2002−3年に米国に留学してその模様を取材し、『シビック・ジャーナリズムの挑戦』(日本評論社)を著し、自らも多くの記事で、「市民の声から始まるジャーナリズム」を実践し、グループで日本新聞協会賞にも輝きました。
 地域メディアの報道の姿勢について、寺島さんにお話をしていただき、討論します。

 全体の司会とコメンテーターを坪田と藤代裕之が務めます。
□坪田 知己 1949年生まれ 日本経済新聞社で、社会部・産業部記者。日経のデジタル戦略を設計し、電子メディア局次長。日経地域情報化大賞を創設。現在、日経メディアラボ所長兼慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授。
□藤代 裕之 1973年生まれ 徳島新聞記者を経て、NTTレゾナント「goo」ニュースエディター、ブログ「ガ島通信」を執筆、北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)サイエンスライティング担当。

<スケジュールと場所>
8月21日(金)13:30開始 会場は米子市コンベンションセンタービッグシップ(JR米子駅前。米子空港から約30分)を予定
13:30−14:00 参加者全員の自己紹介
14:15−16:00 セッション1 「地域貢献を掲げる放送局とは〜中海テレビの20年」
 16:15ー17:45 セッション2 「地域を取り込むデジタル戦略」
18:30ー19:30 食事 (皆生シーサイドホテルの予定)
19:45ー22時頃まで 懇親会
8月22日(土)
9:00−10:30 セッション3 「シビック・ジャーナリズムから学ぶもの」
10:45ー11:45 総括討論(中海テレビが番組として収録します)
  全体を総括して、これからの地域メディアのあり方を議論します。
  中海・高橋専務、河北・寺島氏、グローコム・庄司昌彦氏にパネルに出ていただき、坪田、藤代が司会をしてまとめます。


<宿泊など>
 皆生シーサイドホテル(米子市皆生温泉3−4−3 tel:0859−34−2222)を予定。
 http://www.sanin.com/seaside/
  2階に日本海を望む露天風呂がある素敵な観光ホテルです。

<エクスカーション> 土曜日の会議後、地元の見学などを企画しています。

<参加費>
 2万円 (食事・懇親会込み) 地域情報化研究コンソーシアム会員、会員団体、学生・院生は1万円
 宿泊・交通費は自己負担です。宿泊費は8000円程度の見込み。
  (参加定員は最大40人)

<参考>
羽田と米子を結ぶ飛行機はANAで、
21日 07:10羽田発 08:25米子着
   10:45羽田発 12:00米子着
   13:45羽田発 15:00米子着

22日 12:35米子発 13:55羽田着
   15:35米子発 16:55羽田着
   19:55米子発 21:20羽田着




◎ 参加申し込みについて

1) 氏名、所属、メールアドレス、電話番号
2) ご自身のプロフィール 200字以内
3) この情報をどこでお知りになったか
4) 参加動機 50−200字
5) 米子までの交通手段と米子への到着時間
6) 米子を去る時間と、帰りの交通手段
7) その他
以上を tomtsubo●gmail.com にご連絡ください。折り返し登録通知を差し上げます。

<記入例>
1)坪田知己 慶應大学教授 tomtsubo@gmail.com 090−5813−3207
2)日本経済新聞記者、デスク、電子メディア局次長を経て、2005年から日経メディアラボ所長。デジタルメディアビジネスを行う一方、大学でネットビジネスを教えてきました。
3)企画した本人です
4)少子高齢化に向かう日本を活性化させるには、地域メディアを立て直すことが急務と考え、合宿を企画しました。大いに勉強し、刺激を受けましょう。
5)21日 12:00米子着のANAで参ります。
6)22日夜 伯備線で岡山に向かいます。夜は岡山の実家です。
7)もしかすると、前夜、もしくは早朝便で米子入りする可能性もあります。
                           (以上:7月2日現在)

ご参考
慶應義塾大学地域情報化コンソーシアム>
 このコンソーシアムは、各地域の先進的取り組みの発掘、事例研究、プロジェクト実践など、総合政策学的アプローチによって、情報技術を活用した地域の問題解決のための具体的方策を探り、地域活性化、政策立案に貢献することを目的とする団体です。
 年会費は、幹事会員が100万円、一般会員は10万円です。

 詳しくは http://www.kri.sfc.keio.ac.jp/ja/consortium/rir.html

 このコンソーシアム内に「地域メディア分科会」があり、今回のイベントは分科会の活動として設営しました。分科会は年3-4回の勉強会を設営し、来春にレポートをまとめます。

 関心のある方は 坪田( tomtsubo●gmail.com )にご連絡ください。資料を送らせていただきます。
                                  以上