人はなぜ仕事をするのか?−−仕事の向こうにある価値

tomtsubo2004-12-20

人はなぜ仕事をするのか?−−仕事の向こうにある価値

 最近「仕事とは?」ということをずっと考えている。
 
 最大の原因は、「地域情報化」ということに手を染めてからだ。
 先週も、富山インターネット市民塾、高知県の人たちと飲みながら、佐賀県の「鳳雛塾」という起業家養成塾を富山や佐賀に「輸出」する話で盛り上がった。
 この「鳳雛塾」も「市民塾」もビジネスにはなっていない。ボランティアに近い状態なのだが、関係者は元気いっぱいで頑張っている。
 
 仕事の仕組みのことを「ビジネスモデル」という。慶応大学の國領二郎教授は、この「ビジネスモデル」の専門家なのだが、彼自身も地域情報化のグループと関わっていて、首を傾げている。「いったい、この人たちのエネルギーの源泉は何か?」ということである。
 ビジネスになっていなければ飯が食べられないから、永続しないーー。それは当然だ。この人達は、別に本業を持っているが、そことやりくりしながら地域情報化の仕事を続けている。聞いてみると「面白い」「みんなが喜んでくれる」という理由だ。
 
 一方で、自分の会社を振り返る。楽しんで仕事をしている人もいるが、何となく惰性で、「給料分だけ働こうや」の人も結構多い。
 そういうことを考えていたら、図のようなものが頭に浮かんできた。
 
 地域情報化で頑張るAさんは、仕事の向こうに自分なりに大きな価値を見いだしている。地域が活性化すること、同じことをやっている人たちと価値を共有出来ていることに充実感を得ている。
 一方、某社のサラリーマンBさんは、「仕事はほどほど」タイプだ。言われたことはきっちりやっているが、それ以上頑張る気にはなれない。給料は全部奥さんに渡し、ほどほどの小遣いで時に友人と海釣りに行ったり、ゴルフをしたり。子供の成長と、健康に生きていることに満足している。
 もう一人のサラリーマンのCさんは、仕事を頑張っている。他人に負けたくないという性格もあるが、出世して大きな家に住みたいという夢がある。上司に積極的な提案をするし、接待ゴルフも多いので、奥さんはゴルフ・ウイドーだ。
 
 幸せの形はいろいろだから、どれがいいとか悪いとか言うつもりはない。しかし、たった一度の人生に、何を実現出来るか・・・と思うと、Aさんのようなタイプは「物好き」のように見られるかも知れないが、貴重だと思う。
 
 今年のヒーローの一人は、大リーグで史上最高のヒット数を記録したイチローだ。
 イチローの努力、ストイックな姿勢が多くの人に評価されている。ではイチローの「仕事観」は何だろう。
 巨額の年俸を得ることか、有名になることか・・・。多分、彼は「ヒットを打つ」という芸術のようなものを完成させたいのではないか。自分の肉体を鍛え、新しい理論を考えて実践し、結果としてヒットが生まれ、打率が向上する。できれば10割バッターになりたいのではないか? これも仕事の向こうの大きな価値を得たいためではないか。
 
 目的は何だ?−−ということは問われるべきだ。お金のためなのか、出世のためなのか・・・どこまで行ったら満足するのか?
 お金や出世の域を超えた向こうに、どんな価値を見つけようとするのか・・・そういう意味で、地域情報化に関わる人たちとのビジョンの共有は、私には大きな価値がある。