労働組合って何だ?

ビジョン駆動の図

 今日(7月9日)のNIKKEI NETのネット時評<http://it.nikkei.co.jp/it/njh/njh.cfm>で唐澤豊氏が、「これからの労働組合のあり方――情報技術(IT)と組織論(1)」というコラムを書かれている。
 文中に小生(坪田知己)の名前が出てくるので、ちょっとびっくり。そういえば94年の夏の夜に寺本義也氏とやった対談は面白かった。
 あのとき「すべての会社は必ず潰れる。あなたの会社は何年持ちますか」と言った寺本さんの言葉を、三菱自動車の経営者はどう聞くのでしょうか。

 で、本題は「労働組合」です。

 労働組合を議論するなんて、なんか遠い過去のような気がします。それでもやっぱり労働組合はあるわけです。

 私は94年に『マルチメディア組織革命』という本を書きました。(図「ビジョン駆動の図」参照)
 ここで主張したのは、もう指示と報告というコマンド駆動(主従関係)ではなくて、経営者と社員がビジョンを共有し、コミュニケーションする「ビジョン駆動」の考え方を取るべきだ−−というものでした。
 でも「労働組合」という言葉を使った瞬間に「雇われている者」という主従関係での構図になってしまいます。つまり、会社は社員にノルマを提示し、それを達成すべく給与を払うという形です。つまり、会社のあり方は経営者が考え、社員は働いた分だけ給料がいただければそれでいい。そして、社員の間にひどい不公平が起こらないように、ベースアップをしてね−−ということになります。
 そういう主従関係って、もう古すぎるのではないでしょうか。
 社員は、経営のあり方に意見を出すべきだと思います。個人で、あるいはグループで。

 さて、ITとの関係ですが、例えば7人のグループがある。それがピラミッド型の組織だと、
トップ1人、サブリーダー2人、平社員が、各サブリーダーの下に2人ずつという構成で、この場合はコミュニケーションチャンネルは6本になります。
 一方で、ネットワーク型のフラット組織だと、7人では、7×6/2で、21チャンネルが必要です。
 電子メールのない時代は、ピラミッド型の運用でした。ところが、電子メールでコミュニケーションのコストと、手間が大幅に簡単・安価になったため、21のチャネルでも、一斉同報で、簡単に運用出来てしまうのです。そのことに気づいて欲しいと思います。

 つまり、組織運営の調整コストと手間は大幅に簡略になり、インタラクティブにもなっている。だったらそれを使ってビジョンのブラッシュアップをすべきなのです。

 ということを、6月下旬に山口大学で講義をしてきました。

 ということで、「団体交渉」なんて古めかしいやり方でなく、組織運営のダイナミズムを取り戻すべきです。それができないようなら、大きくなりすぎて自己管理が破綻した恐竜のようになってしまうと思います。